「われのまけだ…… もはやこれいじょう ていこうするだけの ちからはない……」
あれだけボロボロにしたのに、服も元通りになってるし安心できないなぁ。
後で面倒なことになるくらいなら今ここで消滅させた方がいいよね。
最後の一撃を加えようとするアタシの腕に主の手が優しく添えられる。
「もう大丈夫だ。 もう二度とクー・トゥルーも君に逆らうようなことはないだろう。
よく頑張ったなハスツゥン」
そう言ってアタシを抱き締めると優しく頭を撫でてくれる我が主。
さすがは我が主! アタシのことをよく理解してくれているわぁ〜。
主がいなかったら消滅させてたんだからねっ! 感謝しなさいよクー・トゥルー!
アタシは主の胸に顔を埋めて優しく頭を撫でられる心地よさに……
……
…………
「う〜〜ん、主ぃ〜。 もっと頭撫でて〜……」
幸せそうな寝顔を見せ 胸に擦り寄るハスツゥンの頭を優しく撫でながら、
わたしは夜明け前の空を高窓越しに眺めていた。
少なくとも あの屋敷にはハスツゥン並の力を持った存在が二人もいるのだろう。
それに、彼は決して不幸な立場にいるわけではなさそうだ。
……あまり幸福そうにも見えなかったが。
なんとか彼にコンタクトを取る手段を考え出さなければ……
「んふふ〜、鎧なんて用意したってアタシと主には……」
今は考えるのはやめておこう。
この幸せそうな寝顔を守ってあげるのが、今のわたしにできる最善の手段なのだから。