08-03

 目の前からは突進してくる男、横からはクー。ぶつかると思った瞬間重力が逆転した。
 ゴッ、という音とともに右足の踵に鈍い痛みが走る。
 そして気が付くと、クーに背中から抱かれるような形で普通に立っている事に気付く。
公人「あれっ、何が起こったんだ?」
夏海「残念ながら公人の勝ちみたいね。伊達が気付いたら、公人に纏わり付かないように言っておきなさい」
 夏海が周りの連中に向かって言い放つ。
 何が起こったのか理解できないが、足元にさっきの男が横たわっている。

空「どこか痛む箇所とかありませんか?」
 心配そうな表情でこちらを伺う。
公人「ん、特に痛くないよ。つぅか俺、クーに投げられた?」
空「はい、申し訳ありません……」
 小さくなって頭を下げてくる。どうしてクーが謝るかなぁ。
公人「クーのお陰で怪我一つなかったよ、ありがとう」
空「あ、はい。ですが、私達のせいで公人さんを巻き込んでしまいましたので……」
夏海「ほら、いちゃついてないで帰るわよ!」
 強引に俺と腕を組むと引っ張る。それに合わせてクーも反対の腕に絡まってくる。そのまま男の横を通り過ぎる。夏海は踏む。
 後の方から伊達さーんとか踏んで〜とか聞こえてくるが、係わり合いになりたくないのでホンキで帰る事にする。

公人「で、さっきの何?」
 素朴な疑問をぶつけてみる。
夏海「何か親衛隊とか言ってたかな。前々からウザイと思ってたのよねぇ」
空「親衛隊ですか。夏海は凄いですね」
夏海「何言ってんのよ、半分はアンタ目当てでしょ」
空「そうなんですか? 興味ないので知りませんでした」
 あ〜、やっぱり周りの男どもは放っておかないよなぁ。
夏海「公人。アンタ、何か失礼な事考えてない?」
 コイツは被害妄想が強いな…… と、言われた後で失礼な事考えた。





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© ◆ForcepOuXA


2006-02-15作成 2006-02-16更新
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