階段を下りてくると、夕飯の準備に取り掛かる夏海。
夏海「クー、公人と一緒にゆっくりしてなさい。甘えられる時に甘えとかないと公人は甘えさせてくれないわよ」
痛いところを突かれる。確かに今はクーを突き放すなんて、できっこない。
じっ、とこちらを見つめるクー。そして腕を絡めると頭を傾けてくる。
公人「腕を抱き締めるのはいいけど、右手は傷が治るまであまり動かすなよ」
空「はい、そうします」
そのまま夕食の時間まで興味も出ないニュースを見て過ごした。
夏海「夕食の準備終わったから来て〜」
夏海の声でダイニングに向かう。
夏海「クーはそこ、公人はここね」
そう言って座る場所を指定する。クーと俺が並び、その正面に夏海が座る。
空「頂きます」
公人「いただきま〜す」
夏海「ほら、公人。クーは右手が使えないんだから食べさせてあげなさい」
公人「む?」
空「フォークがあればこれくらい……」
夏海「ふ〜ん、クーがそう言うなら、私だけ公人に食べさせて貰おうかしら」
真剣な表情で考え込むクー。いや、そんなに悩む問題でもないだろ。
まぁ今日は仕方ない、とクーの口元に料理を運ぶ。
公人「あ〜〜ん」
空「…………あ〜ん」
もぐもぐと口を動かし飲み込む。
夏海「食べさせて貰うのはどんな感じ?」
空「……夏海の料理が30%増しに美味しくなりました」
公人「それじゃもっと食べさせてあげようか」
空「はい、お願いします」
夏海「待ちなさい。その前に私にも食べさせてくれるのが筋ってモンでしょ?」
結局自分でして貰いたいから言い出したんじゃないのか……