西の地平に連なる山脈。オレンジ色の太陽が少しずつ山影に消えてゆく。
今まさに太陽が沈み込む直前の空は茜色に染まり、徐々に藍色を深めつつあった。
もう誰もいないグラウンドにゴロリと身体を横たえる。
走り込みを続けたせいで、炎を噴き出しそうな身体に伝わる大地の冷たさが心地いい。
モク「……風邪ひいちゃう」
いつの間に現れたのか、すぐ傍に『モク』が立っていた。
モク「……これ、使って。…………風邪ひくの困る」
まだ整い切っていない息をなんとか押さえ込み尋ねてみる。
男「俺が風邪をひいたところでお前には関係ないだろ」
モク「……駄目。………………抱いて貰えなくなる」
何を考えているのか読み取らせない涼しげな瞳のまま危険な発言をする『モク』。
いつも通りのストレートな発言に、俺は苦笑いを浮かべ無理して立ち上がる。
男「今ここで襲われても困るし、帰るとするか」
モク「……したいのなら、…………ここでもいい」
男「馬鹿者。二人だけの秘密にしておけ」
モク「……二人だけの秘密 …………朝まで?」
男「ほざいてろ」
着替えをするためにクラブ棟へ向かう俺にそっと抱き付いてくる『モク』。
目を伏せがちにして口元に微笑みを浮かべている。
男「汗臭いだろ。離れろよ」
モク「……男の香り。…………幸せ」
男「お前の台詞はいちいち恥ずかしいんだ。少し黙れ、つぅか問題発言以外を増やせ」
モク「……男って可愛い。…………大好き」
冬の寒さも感じさせないくらいに暖かな心を持つ『モク』。
感情を表に出さない寡黙さのどこに、そんな感情が秘められているのか不思議だ。
『モク』が傍にいるだけで春の到来は近いような気がしてきた。
西の地平に連なる山脈。オレンジ色の太陽が少しずつ山影に消えてゆく。
今まさに太陽が沈み込む直前の空は茜色に染まり、徐々に藍色を深めつつあった。
もう誰もいないグラウンドにゴロリと身体を横たえる。
走り込みを続けたせいで、炎を噴き出しそうな身体に伝わる大地の冷たさが心地いい。
シュ「……風邪ひく」
いつの間に現れたのか、すぐ傍に『シュー』が立っていた。
シュ「……米。じゃない、これ使って。…………風邪ひくの困る」
まだ整い切っていない息をなんとか押さえ込み尋ねてみる。
男「俺が風邪をひいたところでお前には関係ないだろ」
シュ「……それは駄目。…………お百姓さんに怒られる」
何を考えているのか読み取らせない涼しげな瞳のまま謎の発言をする『シュー』。
いつも通りの異次元な発言に、俺は苦笑いを浮かべ無理して立ち上がる。
男「今ここで百姓一揆が起きても困るし、帰るとするか」
シュ「……竹槍持ちたいなら、…………ここでもいい」
男「馬鹿者。わけ分からねぇ」
シュ「……二人だけの秘密 …………朝まで?」
男「何聞いてるんだ、言葉のキャッチボールしてくれ」
着替えをするためにクラブ棟へ向かう俺にそっと抱き付いてくる『シュー』。
目を伏せがちにして口元に微笑みを浮かべている。
男「汗臭いだろ。離れろよ」
シュ「……お米の香り。…………幸せ」
男「お前の台詞は理解不能だ。少し黙れ、つぅか日本語勉強して来い」
シュ「……お米って可愛い。…………そういえば、男も好き」
冬の寒さも感じさせないくらいに異世界の扉を心に秘める『シュー』。
感情を表に出さないシュールさのどこに、そんな感情が秘められているのか不思議だ。
『シュー』が傍にいるだけで世界の果ては近いような気がしてきた。