陸海空 -Caress of Venus-

序章 第四話 DIVE TO BLUE -IV-



04-01

 最初にその呪縛を解いたのは津川だった。
夏海「な、何って事してんの! いい加減離れなさいっ!!」
 俺の腕を抱え込むと自分の方に引き寄せる。結果、陸海さんから引き離される。

夏海「クー、公人の事は好きでも何でもないんじゃなかったの!?」
空「はい、昨日まではそう思っていました。ですが、冷静になって考えてみると公人さんの人を引き寄せる人格に魅入られている事に気付きました」
 きつく引き寄せてるせいで津川の豊満な胸に腕が埋まっている。
公人「あの〜、言い辛いんだけど。津川、腕放してもらえると嬉しいんだけど」
夏海「ダメ! 今放したらクーに襲われるわよ!」
空「襲いはしません。ですが夏海のように腕に抱き付く事はしてみたいです」
 と言って腕に絡みつき、ギュッと抱き付く陸海さん。
公人「あの、腕に胸が当たってるんだけど」
 その言葉に反応して真っ赤になる津川と、構わず頬をすり寄せる陸海さん。
夏海「そんなこと意識するな、馬鹿っ」
 俯いて更に力を入れてくる。

 やばい、おっきしてきた…… ポールポジションを直したいが身動きが取れない。
公人「あはは…… 二人とも冷静になろう。話はそれからでも遅くないと思う」
空「お酒の力は借りてますが冷静です。純粋な愛情表現にすぎません」
夏海「クーの魔の手から救い出したら離してあげる」
 説得工作失敗……



04-02

公人「料理が冷める前に食べた方がいいよね? 両手が塞がってて食べられないよ」
空「こうしているのが心地よいので離したくありません。夏海に食べさせて貰って下さい。その点はまだ彼女だと認めて貰えていませんので我慢します」
夏海「……クー、腕を放さないと公人に口移しで食べさせるしかないわよ。いいの?」
空「それは私もしたいです」
 いや、そこは非難する部分じゃないのですか?
公人「ちょっと待て、二人とも論点がずれてきてないか?」
夏海「ないわ」
空「ないです」
 即答。

空「確かにこのままでは公人さんの迷惑になりますね。夏海、提案があります。 口移しで食べさせる事でお互い引きましょう」
夏海「いいわ。その条件飲みましょう」
公人「ちょっと待て。俺の意思は無視なのか?」
夏海「これ以上先延ばしにすると料理が冷めてしまうから仕方ないわね」
公人「なぁ、今思いついたんだが──」
夏海「却下」
 聞けよ。

公人「口移しに拘らなくても陸海さんを引き剥がす──」
空「無理です。私の愛はそれくらいの障害など容易く打ち砕きます」
公人「キスってそんな簡単にするモンじゃないだろ。じゃなきゃキスする意味がないし」
夏海「そうね、私のファーストキスが口移しで食べさせるために失われるのは心外だわ」
空「私は公人さんとであればそう思われても構いませんが、先程ファーストキスは済ましましたので問題は全くありません」
 貴様らホンキか!? っていうか今までキスした事ないってのが信じられない。
 こんな美人を放っておくとは二人の周りにいた奴らの目は節穴か?



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© ◆ForcepOuXA


2006-02-15作成 2006-02-16更新
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