リビングに戻ってきた二人は、さも当然といった風に俺の左右にぴったりと座る。
公人「このソファは三人がけだよな?」
夏海「そうね」
公人「四人で座ってるわけでもないのに何故こんなに寄り添って座るんだ?」
空「それは愛の引力です」
これも即答ですか。
夏海「じゃぁ私の料理を食べて貰いましょうか〜」
公人「マテ。上半身裸の男を放っておいていいのか?」
陸海さんが胸に抱きつくように覆い被さってくる。
空「勿論風邪をひかない様に私が暖めますので安心して下さい」
公人「いやいやいやいや、まてまて。マナーとか色々問題あるでしょ?」
空「マナーを気にして公人さんをないがしろにする事は出来ません」
夏海「仕方がないからこちら側は私が暖めつつ食べさせてあげるわね」
会話としては成り立っているが、絶妙にズレまくる。
しかし、状況は各段に悪くなってる。シャツ一枚分とはいえ胸の感触がより鮮明に感じられる。理性の限界が突破してしまうのは目前だ。
公人「ん〜と、シーツとか毛布貸してもらえると嬉しいなぁ〜」
夏海「食事中に寝具に包まるなんて非常識ね」
公人「……大きめの服とかないかな?」
空「残念ですが公人さんが着られるような大きさの服は持っていません」
なぜか前もって答えを準備してたんじゃないかと思えるほど、返事が瞬時に返ってくる…
公人「暖房入れたら風邪ひく事もないんじゃないかな」
夏海「無駄に資源を浪費するのは清貧の志を──」
それはキャラ間違ってる。打ち合わせしてるのは明らかだ。
公人「……仕方がない、正直に言う。ニットがくすぐったくて──」
空「それでは仕方がないですね。公人さんの為にも脱ぎます」
止める間もなくセーターを脱いでしな垂れかかってくる陸海さん。
夏海「くっ…… 謀ったわね、クー」
陸海さんの肌の感触を直接感じて思考停止に陥る。
空「公人さん、こうして胸に抱かれているだけで全てを忘れてしまいそうです」
僅かに身動ぎする度に滑らかで繊細な肌が絡みつくような錯覚を与えてくる。
公人「……ぁ、…………っ……ぅ……」
意識が飛びかけて本能に従いそうになった時、回転するような機械音が聞こえ始め部屋に温風が流れ込む。
夏海「そんな格好じゃ風邪ひきそうね。仕方ないから暖房入れてあげたわ、最強で」
空「暖房なんて必要ありません、公人さんに暖めて貰いますので」
夏海「遠慮しなくて── あぁ、暑い。暖房切れないし私も脱ぐ事にしようかしら」
温風が身体に当たった事で陸海さんの肌の感触にギリギリ抵抗できる隙が出来た。
公人「…………しようかしらじゃなくて脱いでるのは誰だ」
朦朧とした意識だが、既に津川がセーターを脱ぎ捨てているのが見て取れた。
空「貴方には私だけを見詰めていて欲しいです」
頬を両手で挟まれ、顔を陸海さんの方向に向けさせられる。
夏海「やっぱり脱ぐと寒いみたいね。公人、そう思わない?」
腕から背中にかけて温かく柔らかなものを押し当てられる。
公人「ひ、卑怯な……」
空「くっ、後ろからなんて」
夏海「ふふふ。クー、理解したなら貴女の育ちの悪さを呪うのね」
空「夏海、貴女……」
夏海「貴女はいい友人だわ、でも貴女のバストサイズがいけないのよ。ふふふ……」
お前ら実は仲悪いだろ。