マスターに連れられ隣の部屋に向かう。そこにはテーブルや椅子、テレビ、ロッカーなどが設置されており、普通に控え室とか休憩室とか呼ばれそうな部屋だった。
益田「公人君、君にはこのスーツを着て戦って貰う。っと、その前に聞きたい事があった」
公人「何です?」
益田「超能力とか、人としてある意味マズイ能力って持ってないよね?」
最初耳がおかしくなったかと思ったが、今までの言動から素で聞いてるのだと思い直す。
公人「俺を何者だと思ってるんですか……」
益田「まぁ、普通はないと思うけど、あったらいいアピールになるじゃない」
何にアピールするのか聞きたい……
益田「仕方がない、普通の強化スーツだな」
そう言ってロッカーから二種類の衣装を取り出す。
生物的なフォルムを持つスーツと、金属質の光沢を放つプロテクターで覆われたスーツ。
物凄くベタな衣装だ……
益田「覆面ライダー風味と夢中警備風味。好きな方を選びたまえ。ちなみに、性能的にはほぼ違いはない」
ぶっちゃけ警備モノの方はレトロすぎだろ……
公人「他にないんですか? 例えば戦隊モノとか」
益田「公人君は注文が多いな。しかし、格好に拘っていては正義を成す事は出来ない」
ないのか……
公人「じゃぁ覆面ライダー風で…… ところで名前は何ですか?」
益田「好きに決めたまえ」
おいおい。
公人「普通こういう場合は、『今から君は○○だ!』とか言いません?」
益田「じゃぁ、覆面ライダー………………」
せめて名前くらい決めてから言い出して欲しかった……
益田「あ、そうそう。変身って機能はないから自分で着込んでね」
公人「もしかして、この恥ずかしい格好で出かけないといけないんですか?」
益田「……恥ずかしいってのは心外だけど、分からない事もない。その為に移動手段は用意してあるから」
公人「徒歩で移動しろと言われたら辞めてます……」
益田「あぁ、検問とかに引っかかったら、ヒーローショーに出るとでも言って誤魔化しておいて。そこまでは面倒見切れないから」
ぉぃぉぃ、物凄い放任っぷりだな……
公人「ところで、ホントに覆面ライダーって名乗るんですか?」
益田「見得を切らなきゃヒーローじゃないだろ」
名前がない時点で見得は切れないんじゃないのか……
公人「何か覆面ライダーって時点で、かなりアウトなんじゃないかと思いますけど」
益田「大丈夫だ、何とかなる! それよりも、何か得意な武器ってあるかい?」
公人「フライパン」
益田「………………」
公人「………………」
益田「……実は公人君って料理が得意だとか?」
公人「いえ、全く、全然、からっきし料理なんて出来ません」
益田「…………で、得意な武器は?」
公人「フライパン」
益田「分かった…… 用意しておこう」
つぅか武器って普通得意なモノあったらマズイだろ……
益田「まぁこんな感じで大体分かったかな?」
公人「スーツの説明受けてませんが」
益田「説明する部分なんて殆どないよ?」
マジか!?
益田「特に覆面ライダーモノは格闘が基本だし。まぁ敵側は何かしら持ってるかもね」
公人「そういう相手と戦うって事は基本性能は高いんでしょうね?」