15-05

 今度はナビシートに夏海が座る。
公人「そういえば車はどこに停めておけばいいかな?」
夏海「敷地内にガレージがあるから空いてる所に停めたら?」
空「リンが主に使用していますが、車を停めておくスペースは空いていると思います」
公人「じゃぁ、邪魔にならない所にでも停めさせて貰うかな」
 屋敷に到着し、荷物を抱えて二人が降りる。
夏海「問題ないとは思うけど、リンのおもちゃの近くに置かない方がいいわよ」
空「玩具なのかは分かりませんが、念のため離れた所に停めた方が無難です」
 二人の台詞に首を傾げながらもガレージに向かった。

 ガレージらしき建物の前に立つ。屋敷の大きさにも驚いたが、これもデカイ。
 2階建てかと思ったが、入り口の巨大な金属製の扉を見て吹き抜けの建物だと気付いた。
公人「うゎぁ…… 重そうな扉だな……」
 試しに軽く引いてみると軽々と開く扉。絶妙のバランスで取り付けてあるらしく、殆ど力を必要としない。
 無用心だなぁ、と呟きつつ扉を開けると、車のライトに建物の内部が照らされる。
公人「……何、コレ」

 大小様々な機械が壁際に並び、ハンガーらしきモノまである。
 極めつけは巨大な保管庫だ。少なく見積もっても1階建ての建物くらいの高さがある。
公人「これは、見なかったことにしよう。うん……」
 入り口付近の何も置いていない空間に車で乗り入れると、扉を元通りに閉め屋敷に戻った。

 精神的な疲労感を覚えながら屋敷の扉を開けると、二人の声に迎えられた。
夏海「おかえりなさぁ〜い、ご主人様」
空「おかえりなさいませ、ご主人様」
 目の前には萌え産業に特化したメイドが二人かしずいている……
公人「……えっと、なぜメイド服着てるの?」
空「公人さんが以前、メイド服が好きだ、と言っていたので探してきました」
 うん、否定はしないけど。頭のソレはヘッドドレスじゃなくてボンネットだから。





作者注

ヘッドドレス:
 広義では頭部を覆うモノの総称だが、ここではカチューシャ・ヘアバンド状の髪飾りを示す。メイド服のオプションとしてはヘッドドレスと呼ばれる事が多い。
 頭部の装飾や保護を目的とされていたが、時代的背景の変移により、地位や職種などを示す儀礼的な意味合いが強くなった。

ボンネット:
 襞付きの布で縫製したあご紐の付いた女性・子供用の帽子で、額を出し顔を縁取るように被る外出用の帽子。
 ゴスファッションでは髪飾りとしてリボン、ハット、ボンネットを好む傾向がある。





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© ◆ForcepOuXA


2006-02-15作成 2006-02-16更新
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