17-03

 リデルは両肩をがくりと落としながら話を続ける。
リデル「商品生産はほぼ100%、開発は順調のようね。そちらの方は安心していいわよ」
来栖「技術開発部は特に問題ないようだな」
リデル「装備関係の進捗状況が問題なのよ!」
華姫「……まぁ、そちらの方はリデルに任せるわ。私達じゃ分からないし」
リデル「まったくお前達ときたら男にうつつを抜かしているばかりで、少しは真面目に計画実行しようとは思わないのっ?」
来栖「愚問だ。プライベートと作戦は完全に別物。問題はない」
華姫「私も戦術実働部としての実務は完璧にこなしているつもりだけどね」
リデル「そこまで言うなら何も言わないわ。続けて頂戴」

華姫「総合戦略部の報告はどうなの?」
来栖「現状で問題ないな。特に報告すべき点はない」
リデル「…………」
 来栖を睨み付けるリデル。
来栖「まぁそう睨むな。現在、特殊情報部総括のマイが欠けているので、私がそちらも引き受けておく」
華姫「ゲームが始まっていない現状なら私の仕事は殆どないから、私が担当してもいいけど」
来栖「適材適所だ、君はゆっくりするといい。そろそろゲームが始まるのでな」

 室内に緊張が奔り、口をつぐむ二人。
リデル「どこかの支部がゲームに参加し始めたって事?」
来栖「報告では第五支部が敵方第四支部『撲滅大隊』と交戦中との事だ」
華姫「状況はどうなっているの?」
来栖「第五支部は前回の損失が大きかったのでゲーム参加はないと考えていたんだが、戦力を温存していた撲滅大隊が出てきたのでは壊滅もありえる」
リデル「壊滅まで粘る事もないでしょうからいいとして、他には?」
来栖「未確認情報だが敵方第八支部に動きがあるとの事だ」
華姫「弱小じゃない。例え私達にぶつかってきたとしても問題にもならないわね」
リデル「勝ちもしないけど負けもしない面倒な支部だけどね」



17-04

来栖「目下のところ報告する事はこれくらいだな」
華姫「ゲームが始まるとしたらマイのステータスはどうなるの?」
リデル「我が支部は未だゲームには参加している状況じゃないし、復帰次第ゲーム参加可能だと思うわよ」
来栖「新参とはいえ一柱だ。戦力は多いに越したことはない」
華姫「前回の戦い方を見た限りでは、マイは怪人スーツの方が合ってる気もするけどね」
リデル「華姫。ニケよ……」

 来栖は鏡に映し出された姿を見ながら化粧を施す。
 部屋は既にリデルにより片付けられ、華姫は腰に主装備である鞭を取り付けていた。
 最後にルージュを引き、壁に立てかけてあった儀礼杖を手にする。
華姫「準備は出来たようね。行くわよ」

 三人が間接照明で照らされた仄かに暗い大広間に到着する。
 広間には黒い全身タイツのようなアレスを着込んだ構成員が数十名壁を取り囲むように控え、中央には隊列を組むようにそれぞれ独自なデザインの指揮官達が十数名並んでいた。
  『クーーーーッ!』
 構成員達は三人が広間に現れたのを見て一斉に腕を斜め前に伸ばし敬礼する。
 広間の上座、正面にかけられた女性の肖像画を護るように左手側に華姫。右手側に来栖とリデルが立ち並ぶ。

華姫「皆揃っているようね」
来栖「主神がおいでになる前に言っておく事がある。先程、最高幹部会において欠席している特殊情報部総括・マイの代行として、私が臨時に取り仕切る事となった。
以降、マイが戻るまで関連部署は私に従うように」
 指揮官、構成員は一斉に敬礼する。
  『はっ!』『クーーーーーッ!』
リデル「来栖なら情報部の補佐官を付ける必要もないわね」
来栖「間に合わないような事態になる前に指揮下の者に裁量権を与える。安心するがいい」
華姫「来栖であればそのような事態はありえないでしょうけど」



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2006-02-15作成 2006-02-16更新
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