効果があるか分からないが、最悪の事態だけは避けなければ。
公人「クー。俺のことは好きか?」
空「当然です。公人さん以外に興味はありませんし、公人さんだけを愛しています。
望まれれば何でもして差し上げる覚悟はできています。何なりと言いつけて下さい」
夏海「クー、騙され──」
公人「俺のことを一番に考えてくれるクーは大好きだよ。しかし、キス以上の事は俺自身の気持ちが固まってからにしたいんだ。分かってくれ」
空「はい。公人さんがそう言うのであれば仕方がありません。今年はキスで我慢します」
そう言って柔らかく唇を重ねてくる。軽く髪を撫でながらそれに応える事にした。
夏海「クー。そんな甘言に騙されてどうするのっ。公人は一時凌ぎに言ってるだけよ!」
公人「騙してなんかいないぞ。俺は二人以外に好きな女いないし、その気持ちがはっきりするまで待って欲しいと言ってるだけだ」
夏海の腕の中から引き寄せると、クーは俺を胸に抱き入れる。
空「公人さんの言葉を信じられないのであれば、勝負は決まったようなものですね。
相思相愛なのは私です。今後、夏海より優先的に扱って頂きます」
夏海「そんな事させると思ってるの! クーと私、どちらが公人に相応しいかはっきりさせる必要があるようね」
火花を散らし、今にも争い出しそうな二人をなだめる。
公人「クーと同じくらいに夏海のことも好きなんだから、争う必要ないだろ」
夏海「じゃぁ、私の事も大好きなの!?」
射すくめるような眼差しで睨みつけてくる夏海。アナコンダに睨まれたカエル状態。
公人「……大好きです」
夏海「仕方ないわね。優しくキスしてくれるなら今年は許してあげるわ」
クーから奪い取るように引き寄せられ、ゆっくりと、だが激しく唇を貪られる。
テレビから新年を迎えるカウントダウンが始まり、年が明けた。
空「明けましておめでとうございます。昨年はキスで我慢しましたが、今年はキス以上の行為を期待します」
にこやかに微笑むクー、そして夏海は悪魔の微笑みを浮かべていた。